国別影響度要因分析(対策開始時状況やBCG接種影響など)
新型コロナウイルスの影響は、国によって大きく異なります。 それは様々な複合要因によると想定されますが、影響ありそうな事項、巷の説含め検証してみました。(参照値一覧は6/25時点)
メガクラスターなどによる地域差
急激な感染拡大が見られた国でも、実は特定のクラスター起因や特定の地域に大きく偏りがある場合があり、国別に比較する場合には注意が必要です。
ここでは、韓国、イタリア、ブルネイの事例をご紹介します。
韓国のメガクラスター
韓国は世界的に早い段階で感染確認が急増しましたが、一部欧米諸国よりは感染爆発を抑えられました。最初の急増においては、同じ場所で発生しているクラスターの割合が非常に大きく、これに対応できたことが抑え込みの一因と言えるかと思います。
上のグラフの一点斜線で示す大邱では新興宗教の集会における感染が殆どで非常に多い割合になっており、慶北においても関連する病院の院内クラスターが殆どでその割合も多く、その他の地域でも関連する感染が確認されていました。
点線がその2地域を合わせたものとその他になりますが、合せると感染確認は全体の約4分の3、死亡者は約9割をもしめ、首都ソウルを含む他のエリアだけではタイとほぼ同様の推移で、感染確認はやや多く、死亡者はやや少ない状況でした。
全体の死亡者が比較的少ないのは大邱で感染確認された信者が致死率が低い20代に多かった為で、慶北では院内感染における高齢者の犠牲者が多かった為、2地域での死亡の割合が高くなっていました。
イタリアのメガクラスター
イタリアではロンバルディア州在住者に初の陽性確認が認められ、その関連可能性ある全員無症状でも検査実施され陽性・死亡者が多く確認された背景があり、5/21時点でも1州だけで42%、関連ある2州で半数以上を占める状況になっています。
初確認者は当初はインフルエンザとして処方され通常生活を行っていた事もあり、既に蔓延していた可能性が高く、数日間で数万人に検査実施し数千人の陽性が判明、そうなると抑えきれなかった可能性があります。
初の死亡者確認も、初確認者と同じ病院で以前からの肺炎患者の死後検査で判明とのこと。
多くの人が一気に病院に訪れた事で、院内感染や医療崩壊も生じたようで、特定州とそれ以外では推移にも違いがみられます。
マレーシアの宗教行事クラスターのブルネイ等への拡散
2/27~3/1にマレーシアの首都クアラルンプールのモスク(イスラム礼拝所)で行われた大規模宗教行事に、国内外から約1万6千人が参加し、3/16時点で参加者のうち、マレーシア人338人の感染が確認され、ブルネイからの48人、シンガポールからの5人にも帰国後に陽性が確認されました。
ブルネイでは国内の全感染者の大半をこの集会の参加者そその接触者が占める状況で、その他もほぼ帰国者・入国者のみとなっており、これらの対象者を厳格に隔離し、退院者に対しても監視用リストバンド等活用により制御し、市中感染を防いだようです。
対策開始のタイミング
同じ対策を行ったとしても、既に感染が広がってしまっていると影響に差が出ることが想定されます。
ここでは、入国制限の状況を確認した上で、対策開始時の状況や対策開始のタイミングの影響への相関確認、およびその他の対策についてご紹介します。
入国制限の時期と状況
対策としても様々なものがありますが、生じてから抑えるよりも、そもそも危険性を入れない入国制限(いわゆる水際対策)がやはり効果的なようです。それにも、入国者の体温をサーマルカメラ等でチェック、感染拡大国からの入国拒否、全ての国からシャットアウト等の段階があります。
our world in dataでの公開情報により制限状況判明している全150か国の制限レベル推移を確認してみると、概ね2月初旬頃より特定国に対して実施する国が増え、3月中旬ごろには多くの国で国境封鎖となり、5月に入り徐々に解除されてきている状況ですが、全般的にヨーロッパ・アメリカでは3月中旬になって実施というところも多いようです。
もう少し詳しく見てみると、確かに左の表のように制限実施が遅れた国はヨーロッパに多く、アフリカやアジアで早い傾向はありますが、右の表のように逆に人口当りの死亡者数などの順でみると、実はイタリアやフランスなどでは早い時期に制限を行っていても、感染爆発が生じた場合がみられた状況もありました。
対策開始時の感染拡大状況
参考までに、要因候補として「対策開始時の人口百万人当たりの累積感染者数」を、影響を示す値として、なるべく他の影響を避け「死者初確認の30日後の累積死亡者数」を設定し、その関係を確認した状況をご紹介します。
但し対象国は日本の大使館情報等により独自で確認を行った約100か国に限られており、それによると以下に示すように対策開始において全般的にアジアが早く欧米が遅い傾向がみられましたが、後に得られた英国情報機関による調査ではむしろ逆の傾向も見られ、情報収集の状況に応じて結果は変わる前提でご参照ください。
相関係数は 0.507(0と1の間で1に近いほど相関有)となり、やはりある程度の相関が認められました。
エリア別でグラフに示してみると(値の差が大きい為、対数軸利用)、全般的に死者数を抑えられているアジアや東欧は感染者確認数が少ないうちに対策実施し、比較すると東以外のヨーロッパ諸国の多くは既に一定数感染が広まってから対策実施となっていた様子が確認できます。
なお対数ではない通常軸で見ると、十数か国は極端な状況を示していますが、他は差はあまりなく、横軸の値で縦軸の値を予測するための近似曲線の決定係数 R2は 0.256(0と1の間で1に近いほど実際を適切に表現) であまり高くはありません。
対策開始タイミング
感染者数が少ないうちに対策するには、如何に早く実施するかが重要です。対策として、感染可能性のある外国人の入国を制限する「水際対策」なども含めると、感染者確認前のかなり早い段階から対策実施している国も多く、今だ死者ゼロでグラフに表示もできない国もあります。
「対策開始日の感染者初確認日との差」と今回は期間の要素も踏まえた「人口百万人当り累積死者数」の関係を確認すると、相関係数は 0.335となり、弱いながらもやや相関が認められました。
中央アジアを始め、東以外のアジアおよび東欧諸国の半数近くで、グラフ中央の感染確認日を示す0日よりも早い時期に対策実施し、死者数も抑えられている事が確認できます。
こちらも、対数ではない通常軸で見ると、感染確認前か後かで大きな違いがありますが、全体で近似曲線を求めると、R2は0.112となってしまいます。
なお、対策の定義や公表状況によっても実際と異なる場合があり、一部の国だけが極端に感染・死亡者数が多い状況や、この検証後に判明した中南米やアフリカなどの状況も含めると、更に相関は薄くなる可能性もあり、少なくとも因果関係を示すものでもありません。
その他の対策
他の多くの制限項目については、香港・マカオ・台湾等の中国本土と別政策の地域含めた東アジアで2月初旬より実施、他は殆どの国で3月中旬頃より厳しく実施している状況でした。
また、多くの国が実施している参照サイトでまとめられている項目以外にも、例えば「帰国者・入国者の一定期間隔離」や「マスク着用義務化」なども一定の効果はありそうです。
但し、いずれにしてもこれらの状況が実際に影響を及ぼしたと証明する事は不可能な事は注意が必要です。
BCG接種方針影響
過去実施による適用年齢等
現在の出生時における接種方針区分における、「THE BCG WORLD ATLAS」のデータベースで明示されている範囲での導入年・推奨停止年から、2020年時点での概ね接種適用されていると想定される年齢を示します。
これにより現在推奨停止し若年層は接種していなくても中年~高齢で接種、逆に現在実施していても中年~高齢では接種していないといった国も多く、新型コロナウイルスが比較的高齢者に影響が大きい事も踏まえると、現在の接種区分で論じること自体には、あまり意味がないようにも思われます。
敢ていえば「とにかく予防を」とするか「明確な効果不明のものは行わない」といった国民性の違いが多少出ているかもしれませんが、実際に効果があるかはこれからの検証が待たれるところのようです。
現在のBCG接種推奨区分別状況
一応、相関を強引に確認してみると以下のようになっています。
一律に比較できる数値はない為、便宜的に実施状況を数値にあてはめ(現在の実施方針区分を大きく10の差、そのうち対象年齢などによる設定小分類で1の差とした、あくまでも設定値)、「人口百万人当たりの死者累計」との関係をみると、確かに相関係数は 0.618と、設定数値上は相関が認められる値となりました(もちろん因果関係を示すものではありません)。
しかし、現在の大きな状態区分としては同じでも、現在実施における導入年や、推奨停止ながらも過去実施していた際の導入及び停止年の違いは大きいと想定されるものの、タイミング不明も多く、可視化グラフ上でもその差はあまり認められません。
アジア、ヨーロッパ、オセアニア、北アメリカの99か国限定の情報です。
初期順は対策開始日の感染者初確認日との差の日数順としていますが、
ラベル下▲▼クリックにより並べ替え可能、「Column select」ボタンで表示項目の選択・解除、列ラベルドラッグ&ドロップで列順変更可能で、(実装の都合上、状況一覧と異なり)初期表示15件ページ送り式になっていますが、プルダウンより表示数変更できます(キャッシュに保存されます)。
※初月の死者数:死者初確認30日後の人口百万人当り死者累計、※BCG接種:下限から上限の年齢は原則接種、ただし強制停止でも推奨により高接種率の場合や、現在実施でも実際には未接種も有、空欄は不明(現在実施でも若年層のみの可能性有)※国Noはエリア毎人口多い順
数値の多い順背景色凡例: | |||||||
---|---|---|---|---|---|---|---|
1~5 | 6~10 | 11~15 | 16~20 |
国名(..:略) | 対策開始日 | 初確認日差 | 死者/百万人 | 死者/1週前陽性 | BCG現方針 | BCG接種上限 | BCG接種下限 | エリア | 国No | iso code | 参考Link |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
トルクメニスタン | 2/04 | -142 | 0.0 | - | A.現在実施 | 亜_中 | 15_05 | TKM | ※ | ||
モンゴル | 1/01 | -69 | 0.0 | 0.0 | A.現在実施 | 72 | 0 | 亜_東 | 11_07 | MNG | ※ |
ブルネイ | 1/01 | -69 | 6.9 | 2.1 | A.現在実施 | 69 | 0 | 亜東南 | 12_11 | BRN | ※ |
カザフスタン | 1/06 | -69 | 7.1 | 0.9 | A.現在実施 | 亜_中 | 15_02 | KAZ | ※ | ||
スロバキア | 1/01 | -66 | 5.1 | 1.8 | B.強制停止 | 67 | 8 | 欧_東 | 24_09 | SVK | ※ |
タジキスタン | 2/26 | -65 | 5.5 | 1.0 | A.現在実施 | 亜_中 | 15_03 | TJK | ※ | ||
オーストリア | 1/01 | -56 | 76.9 | 4.1 | B.強制停止 | 68 | 30 | 欧_西 | 21_05 | AUT | ※ |
東ティモール | 1/28 | -54 | 0.0 | 0.0 | A.現在実施 | 亜東南 | 12_10 | TLS | ※ | ||
ミャンマー(ビルマ) | 2/01 | -52 | 0.1 | 2.3 | A.現在実施 | 亜東南 | 12_05 | MMR | ※ | ||
パプアニューギニア | 1/31 | -50 | 0.0 | 0.0 | A.現在実施 | 阿西亜 | 32_01 | PNG | ※ | ||
インドネシア | 1/15 | -47 | 9.3 | 6.3 | A.現在実施 | 21 | 0 | 亜東南 | 12_01 | IDN | ※ |
バングラデシュ | 1/22 | -47 | 9.4 | 1.6 | A.現在実施 | 41 | 0 | 亜_南 | 13_03 | BGD | ※ |
キルギス | 2/05 | -43 | 6.4 | 1.6 | A.現在実施 | 亜_中 | 15_04 | KGZ | ※ | ||
ポルトガル | 1/26 | -37 | 151.0 | 4.1 | A.現在実施 | 欧_南 | 22_04 | PRT | ※ | ||
アイスランド | 1/23 | -37 | 29.3 | 0.6 | D.不明 | 欧_北 | 23_10 | ISL | ※ | ||
ボスニア・... | 1/31 | -35 | 52.1 | 5.5 | A.現在実施 | 70 | 0 | 欧_南 | 22_07 | BIH | ※ |
パキスタン | 1/24 | -34 | 17.0 | 2.4 | A.現在実施 | 42 | 0 | 亜_南 | 13_02 | PAK | ※ |
ブルガリア | 2/03 | -34 | 29.9 | 6.0 | A.現在実施 | 欧_東 | 24_08 | BGR | ※ | ||
パレスチナ | 2/02 | -33 | 1.0 | 0.7 | A.現在実施 | 亜_西 | 14_12 | PSE | ※ | ||
バーレーン | 1/23 | -32 | 39.4 | 0.3 | D.不明 | 亜_西 | 14_17 | BHR | ※ | ||
クウェート | 1/23 | -32 | 78.2 | 0.9 | A.現在実施 | 亜_西 | 14_13 | KWT | ※ | ||
オランダ | 1/27 | -32 | 355.7 | 12.4 | C.特定実施 | 41 | 欧_西 | 21_03 | NLD | ※ | |
イスラエル | 1/23 | -30 | 35.6 | 1.6 | B.強制停止 | 65 | 38 | 亜_西 | 14_09 | ISR | ※ |
アゼルバイジャン | 1/30 | -30 | 16.5 | 1.6 | A.現在実施 | 亜_西 | 14_07 | AZE | ※ | ||
クロアチア | 1/27 | -30 | 26.1 | 4.7 | A.現在実施 | 72 | 0 | 欧_南 | 22_06 | HRV | ※ |
トルコ | 2/14 | -27 | 59.3 | 2.8 | A.現在実施 | 68 | 0 | 亜_西 | 14_01 | TUR | ※ |
アイルランド | 2/04 | -26 | 348.3 | 6.8 | A.現在実施 | 65 | 0 | 欧_北 | 23_06 | IRL | ※ |
ニュージーランド | 2/02 | -26 | 4.6 | 1.9 | B.強制停止 | 44 | 30 | 阿西亜 | 31_02 | NZL | ※ |
カナダ | 1/01 | -25 | 224.0 | 8.5 | C.特定実施 | 80 | 55 | 米_北 | 41_02 | CAN | ※ |
オマーン | 2/01 | -24 | 27.4 | 0.6 | A.現在実施 | 亜_西 | 14_11 | OMN | ※ | ||
イラン | 1/28 | -23 | 117.4 | 5.1 | A.現在実施 | 36 | 0 | 亜_南 | 13_04 | IRN | ※ |
モルディブ | 2/14 | -23 | 14.8 | 0.4 | A.現在実施 | 亜_南 | 13_09 | MDV | ※ | ||
イラク | 2/02 | -23 | 31.1 | 5.5 | A.現在実施 | 亜_西 | 14_02 | IRQ | ※ | ||
フィジー | 2/28 | -21 | 0.0 | 0.0 | A.現在実施 | 阿西亜 | 32_02 | FJI | ※ | ||
台湾 | 1/01 | -20 | 0.3 | 1.6 | A.現在実施 | 69 | 0 | 亜_東 | 11_05 | TWN | ※ |
インド | 1/15 | -15 | 10.5 | 4.1 | A.現在実施 | 72 | 0 | 亜_南 | 13_01 | IND | ※ |
レバノン | 2/07 | -15 | 4.7 | 2.2 | C.過去も無 | 亜_西 | 14_10 | LBN | ※ | ||
ウズベキスタン | 3/01 | -15 | 0.6 | 0.3 | A.現在実施 | 83 | 0 | 亜_中 | 15_01 | UZB | ※ |
ラオス | 3/11 | -14 | 0.0 | 0.0 | A.現在実施 | 亜東南 | 12_08 | LAO | ※ | ||
アルバニア | 2/25 | -13 | 15.6 | 2.7 | A.現在実施 | 欧_南 | 22_08 | ALB | ※ | ||
ルーマニア | 2/14 | -13 | 80.0 | 6.9 | A.現在実施 | 92 | 0 | 欧_東 | 24_04 | ROU | ※ |
モルドバ | 2/24 | -13 | 121.5 | 4.0 | A.現在実施 | 欧_東 | 24_10 | MDA | ※ | ||
スイス | 2/15 | -11 | 194.0 | 5.4 | B.強制停止 | 55 | 33 | 欧_西 | 21_06 | CHE | ※ |
日本 | 1/05 | -10 | 7.6 | 5.5 | A.現在実施 | 73 | 0 | 亜_東 | 11_02 | JPN | ※ |
タイ | 1/03 | -10 | 0.8 | 1.9 | A.現在実施 | 43 | 0 | 亜東南 | 12_04 | THA | ※ |
マレーシア | 1/16 | -9 | 3.7 | 1.4 | A.現在実施 | 亜東南 | 12_06 | MYS | ※ | ||
ヨルダン | 2/23 | -9 | 0.9 | 0.9 | A.現在実施 | 亜_西 | 14_06 | JOR | ※ | ||
シリア | 3/14 | -9 | 0.4 | 4.0 | A.現在実施 | 亜_西 | 14_05 | SYR | ※ | ||
イタリア | 1/23 | -8 | 573.5 | 14.6 | C.特定実施 | 50 | 19 | 欧_南 | 22_01 | ITA | ※ |
モンテネグロ | 3/10 | -8 | 14.3 | 2.8 | D.不明 | 欧_南 | 22_11 | MNE | ※ | ||
ベルギー | 1/28 | -7 | 838.1 | 16.1 | C.特定実施 | 74 | 7 | 欧_西 | 21_04 | BEL | ※ |
韓国 | 1/14 | -6 | 5.5 | 2.3 | A.現在実施 | 45 | 0 | 亜_東 | 11_03 | KOR | ※ |
ドイツ | 1/22 | -6 | 106.4 | 4.8 | B.強制停止 | 59 | 22 | 欧_西 | 21_01 | DEU | ※ |
ハンガリー | 2/28 | -6 | 59.3 | 14.1 | A.現在実施 | 67 | 0 | 欧_東 | 24_06 | HUN | ※ |
キプロス | 3/05 | -5 | 21.7 | 1.9 | D.不明 | 亜_西 | 14_18 | CYP | ※ | ||
フィンランド | 1/27 | -3 | 59.0 | 4.6 | B.強制停止 | 79 | 14 | 欧_北 | 23_04 | FIN | ※ |
アフガニスタン | 2/23 | -2 | 15.9 | 2.3 | A.現在実施 | 亜_南 | 13_05 | AFG | ※ | ||
ギリシャ | 2/25 | -2 | 18.2 | 6.0 | A.現在実施 | 欧_南 | 22_03 | GRC | ※ | ||
フランス | 1/23 | -2 | 455.3 | 18.8 | B.強制停止 | 70 | 13 | 欧_西 | 21_02 | FRA | ※ |
リトアニア | 2/26 | -2 | 28.3 | 4.3 | A.現在実施 | 欧_北 | 23_07 | LTU | ※ | ||
サンマリノ | 2/27 | -1 | 1,237.6 | 6.1 | D.不明 | 欧_南 | 22_14 | SMR | ※ | ||
スペイン | 1/31 | -1 | 606.0 | 11.6 | B.強制停止 | 55 | 39 | 欧_南 | 22_02 | ESP | ※ |
アンドラ | 3/02 | -1 | 673.0 | 6.1 | B.強制停止 | 欧_南 | 22_13 | AND | ※ | ||
スロベニア | 3/04 | -1 | 53.4 | 7.4 | B.強制停止 | 73 | 15 | 欧_南 | 22_10 | SVN | ※ |
セルビア | 3/06 | -1 | 38.7 | 2.1 | D.不明 | 欧_南 | 22_05 | SRB | ※ | ||
ノルウェー | 2/26 | -1 | 45.7 | 2.9 | B.強制停止 | 11 | 欧_北 | 23_05 | NOR | ※ | |
スウェーデン | 1/31 | -1 | 511.0 | 9.7 | B.強制停止 | 80 | 45 | 欧_北 | 23_02 | SWE | ※ |
チェコ | 3/01 | -1 | 31.7 | 3.4 | B.強制停止 | 67 | 10 | 欧_東 | 24_05 | CZE | ※ |
中国 | 1/01 | 0 | 3.2 | 5.5 | A.現在実施 | 亜_東 | 11_01 | CHN | ※ | ||
ベトナム | 1/24 | 0 | 0.0 | 0.0 | A.現在実施 | 35 | 0 | 亜東南 | 12_03 | VNM | ※ |
フィリピン | 1/30 | 0 | 10.8 | 4.4 | A.現在実施 | 亜東南 | 12_02 | PHL | ※ | ||
ブータン | 3/06 | 0 | 0.0 | 0.0 | A.現在実施 | 41 | 0 | 亜_南 | 13_08 | BTN | ※ |
ルクセンブルク | 3/01 | 0 | 175.7 | 2.7 | B.強制停止 | 欧_西 | 21_07 | LUX | ※ | ||
デンマーク | 2/27 | 0 | 104.1 | 4.9 | B.強制停止 | 74 | 34 | 欧_北 | 23_03 | DNK | ※ |
オーストラリア | 1/25 | 0 | 4.0 | 1.4 | B.強制停止 | 65 | 40 | 阿西亜 | 31_01 | AUS | ※ |
バチカン | 3/08 | 1 | 0.0 | 0.0 | D.不明 | 欧_南 | 22_16 | VAT | ※ | ||
サウジアラビア | 3/06 | 3 | 38.7 | 1.0 | A.現在実施 | 52 | 0 | 亜_西 | 14_03 | SAU | ※ |
マルタ | 3/11 | 3 | 20.4 | 1.4 | A.現在実施 | 欧_南 | 22_12 | MLT | ※ | ||
ポーランド | 3/10 | 6 | 36.3 | 4.6 | A.現在実施 | 65 | 0 | 欧_東 | 24_03 | POL | ※ |
カタール | 3/08 | 7 | 34.4 | 0.1 | A.現在実施 | 亜_西 | 14_16 | QAT | ※ | ||
ラトビア | 3/11 | 8 | 15.9 | 2.7 | A.現在実施 | 75 | 0 | 欧_北 | 23_08 | LVA | ※ |
ウクライナ | 3/12 | 8 | 24.0 | 3.2 | A.現在実施 | 43 | 0 | 欧_東 | 24_02 | UKR | ※ |
スリランカ | 2/06 | 9 | 0.5 | 0.6 | A.現在実施 | 亜_南 | 13_07 | LKA | ※ | ||
エストニア | 3/10 | 11 | 52.0 | 3.5 | A.現在実施 | 欧_北 | 23_09 | EST | ※ | ||
シンガポール | 2/07 | 14 | 4.4 | 0.1 | A.現在実施 | 65 | 0 | 亜東南 | 12_09 | SGP | ※ |
アルメニア | 3/16 | 15 | 130.3 | 2.2 | A.現在実施 | 22 | 0 | 亜_西 | 14_15 | ARM | ※ |
北マケドニア | 3/18 | 20 | 120.5 | 5.9 | A.現在実施 | 70 | 0 | 欧_南 | 22_09 | MKD | ※ |
ロシア | 2/21 | 20 | 57.3 | 1.5 | A.現在実施 | 欧_東 | 24_01 | RUS | ※ | ||
ジョージア | 3/21 | 23 | 3.5 | 1.6 | A.現在実施 | 亜_西 | 14_14 | GEO | ※ | ||
アラブ首長国連邦 | 2/23 | 27 | 30.8 | 0.7 | A.現在実施 | 亜_西 | 14_08 | ARE | ※ | ||
ベラルーシ | 3/27 | 28 | 37.8 | 0.6 | A.現在実施 | 欧_東 | 24_07 | BLR | ※ | ||
カンボジア | 3/07 | 39 | 0.0 | 0.0 | A.現在実施 | 亜東南 | 12_07 | KHM | ※ | ||
イギリス | 3/12 | 41 | 632.3 | 14.4 | B.強制停止 | 15 | 欧_北 | 23_01 | GBR | ※ | |
アメリカ | 3/05 | 44 | 366.2 | 5.7 | C.過去も無 | 米_北 | 41_01 | USA | ※ | ||
ネパール | 3/20 | 55 | 0.8 | 0.3 | A.現在実施 | 亜_南 | 13_06 | NPL | ※ | ||
モナコ | 127.4 | 5.1 | D.不明 | 欧_西 | 21_08 | MCO | ※ |
感染症のように多くの要因が複雑に関連し、それを評価する値にも様々な要素が含まれる事象については、単純に解析する事は困難です。ここでは参考になると感じた記事や情報などをご紹介したいと思います。
神戸大学中澤先生による新型コロナの読み解き方
記事概要
NATIONAL GEOGRAPHICにおける10回に渡る連載記事の私が気になったポイントをご紹介。詳しくは掲載日にリンクの各記事をご確認下さい。
- 適切な専門家に聞く「新型コロナ」の読み解き方(5/12)
- 報道では実は専門家ではないコメンテーターなどにより科学的根拠がない情報発信も多いが、感染症疫学の特に数理モデルの専門家は非常に少なく、現状対応で余裕がないのが実情。そこで保健学研究科の中澤港教授に伺っていく。
- 新型コロナの厄介さと怖さを知る:2つの致命割合CFRとIFRとは(5/13)
- 潜伏期間中央値5日(インフルエンザは2日)で、西浦さん達の調査によると、発症間隔中央値4日とそれより短く、発症前の人からの感染が約半分。
致命割合は確定患者分母のCFR(現1~10%)か関連死含む推定のIFR(現推定0.3~0.6%)か等で異なり、インフルエンザ(拡大解釈CFR 0.1%・推定IFR 0.005~0.01%)等と比較時に対象異なる報道有要注意。 - 新型コロナ、年齢や持病など「重症化リスク」の真相(5/14)
- 高齢者や基礎疾患有に致死割合高いとされているが、だれでもかかる病気で、若者でも0.2~0.4%・基礎疾患なくても0.9%は低くはないと捉えるべき。
- 新型コロナの治療薬や「BCG仮説」で気をつけたいこと(5/15)
- 治療薬やBCG仮設などの地域相関研究は、最低限、症例対照研究、望ましくはランダム化比較試験などができない限り、因果関係を議論できるものにはならない。
- 新型コロナの広がり方:再生産数と「密」という大きな発見(5/16)
- 基本再生産数R0は現在SARSの平均約3と同程度と考えられているが、分散が極めて大きい事が特徴で、一部の人がたくさんの感染者を生み出す状況が含まれていると想定され、西浦さんたちにより特定された3密では約30倍になることも。
- 新型コロナPCR検査の状況を読み解く「3種類の検査目的」(5/17)
- 日本において種々の課題により必要な人が検査を受けられない事態が生じたのは問題あるが、一般まで多く検査をしたとしても実際の感染者数が桁違いに多いということは状況的に考え難く、医療従事者のうちのハイリスク者への頻繁な検査で伝搬3分の1減らせるとの試算有。
- 新型コロナの感染者はどのぐらいいるのか:検出率と抗体検査(5/18)
- 各国の年齢割合で重みづけした致命割合IFR(日本1.6%)を死者数で割ることによる2週間前の感染者数推定で確定数を割った検出率は、日本約25%。韓国49%は別としも、ドイツでも15.6%、イタリア3.5%、イギリス1.2%等に比べ高い。但し判別されていない死者数を考慮に入れる場合、日本は速報が2カ月後と遅い課題がある。神戸の病院で外来検査で3.3%陽性との数字があるが検査キットの精度などにもよるのでこの数字が一人歩きするのは危険。
- 新型コロナ、クラスター対策と「8割減」の本当の意味(5/19)
- 日本のようにスーパー・スプレッディングをクラスター対策で捉え、他のランダムリンクは対人的距離が遠い文化的背景などより再生産数Rが1未満であれば収まりえるが、ハグ習慣などがある欧米はランダムリンクが1以上であった可能性。これが正しければ株の違いによる感染力の差などの仮設は話が変わる。
クラスター対策は連鎖を断つだけでなく、その知見で連鎖を予防することに大きな意義があり、対策班の高い功績であるが、3月中旬以降の帰国者への対応には機能しきれなかった状況がある。 - 「コロナ禍」はいつまで続く?:2022年終息説ほかいくつかのシナリオ(5/21)
- ワクチンはすぐにできる保証はないのでしばらく抑え込みと増加の繰り返しが予測される。他国では日本で重視していたRの分散の高さを考慮していないのが特徴であるが、日本ではICT活用や保健所機能強化などによる「効果的クラスター対策」などがあれば、二度目の緊急事態宣言は避けられるはず。
- 新型コロナ「接触通知アプリ」はどれほど有効なのか(5/22)
- スマホアプリなどで効果的接触者追跡ができれば、ロックダウンしなくてもRを1未満にできるというシミュレーション結果もあり。中国・韓国などでは街頭カメラなどと併せて徹底追跡。シンガポールもアプリ活用で追跡試みたがインストール者数が不十分でロックダウンに至った。
AppleとGoogle共同開発でスマホOSに組み込まれたしくみの活用や、具合が悪い際の自宅待機、マスク・手洗い習慣、3密を避けるなどの行動変容も重要。そして感染者を差別しない事も。
潜伏期間と発症間隔イメージ(5/13記事内)
感染拡大の違いイメージ(5/16記事内)
記事内紹介「感染者検出率」論文データ
中澤先生の5/18の記事で、ゲッチンゲン大学フォルマー教授が4/2/に発表した世界40か国の感染者検出率試算を掲載
感染致死率 | 推定検出率 | 推定感染人口比 | |
---|---|---|---|
イタリア | 1.38 | 3.50 | 5.00 |
スペイン | 1.21 | 1.68 | 12.24 |
アメリカ | 0.96 | 1.59 | 3.58 |
フランス | 1.20 | 2.62 | 3.09 |
イラン | 0.43 | 2.40 | 2.21 |
イギリス | 1.09 | 1.19 | 3.15 |
オランダ | 1.14 | 1.88 | 3.94 |
ドイツ | 1.30 | 15.58 | 0.55 |
ベルギー | 1.14 | 2.00 | 5.50 |
スイス | 1.13 | 7.06 | 2.72 |
トルコ | 0.55 | 0.12 | 13.23 |
ブラジル | 0.59 | 0.95 | 0.28 |
スウェーデン | 1.15 | 7.63 | 0.58 |
韓国 | 0.96 | 49.47 | 0.04 |
ポルトガル | 1.32 | 3.70 | 1.98 |
インドネシア | 0.42 | 0.53 | 0.11 |
オーストリア | 1.15 | 11.97 | 0.94 |
カナダ | 1.05 | 4.95 | 0.46 |
デンマーク | 1.14 | 12.95 | 0.41 |
フィリピン | 0.36 | 0.76 | 0.25 |
ルーマニア | 1.09 | 2.45 | 0.48 |
エクアドル | 0.47 | 0.37 | 3.46 |
アイルランド | 0.84 | 2.63 | 2.49 |
日本 | 1.60 | 25.16 | 0.01 |
ドミニカ共和国 | 0.48 | 0.20 | 5.17 |
イラク | 0.23 | 0.70 | 0.24 |
ギリシャ | 1.34 | 10.57 | 0.12 |
エジプト | 0.34 | 1.46 | 0.05 |
アルジェリア | 0.43 | 0.58 | 0.28 |
マレーシア | 0.45 | 7.09 | 0.12 |
ノルウェー | 1.01 | 37.76 | 0.23 |
モロッコ | 0.47 | 0.50 | 0.33 |
インド | 0.41 | 1.68 | 0.01 |
ポーランド | 1.06 | 7.68 | 0.08 |
チェコ | 1.09 | 13.96 | 0.22 |
ペルー | 0.54 | 2.09 | 0.15 |
パナマ | 0.54 | 1.24 | 2.20 |
メキシコ | 0.48 | 1.42 | 0.06 |
アルゼンチン | 0.67 | 1.69 | 0.14 |
後述の論文に掲載されている年齢別の感染致命割合(IFR)が世界中のどこでも正しいとして、各国の年齢別人口で重み付けした感染致命割合(IFR)を計算したもの。
症状発現から死亡まで18日・発症から4日後に検査されたとして、年代比で補正した感染致死率と3/31の公表死者数を元に推定した3/17の推定感染者数と実際の陽性確認者数から求めた割合。
※但し3月以降の陽性確認から死亡までの実際の期間は国により大きく異なる
記事内紹介「感染致死率」論文データ
上述で参照されたインペリアル・カレッジ・ロンドンのチームが3/30に発表した論文における年齢別の感染致命割合(IFR)。
年代 | 中国実例 | 推定感染致死率 | 下限 | 上限 |
---|---|---|---|---|
全体 | 2.290 | 0.657 | 0.389 | 1.33 |
0~9才 | 0.000 | 0.002 | 0.000 | 0.02 |
10代 | 0.182 | 0.007 | 0.001 | 0.05 |
20代 | 0.193 | 0.031 | 0.014 | 0.09 |
30代 | 0.237 | 0.084 | 0.041 | 0.19 |
40代 | 0.443 | 0.161 | 0.076 | 0.32 |
50代 | 1.299 | 0.595 | 0.344 | 1.28 |
60代 | 3.600 | 1.930 | 1.110 | 3.89 |
70代 | 7.963 | 4.280 | 2.450 | 8.44 |
80才~ | 14.773 | 7.800 | 3.800 | 13.30 |
※中国CDCが2/11に公表したデータを基にした推定で、現状国により元状況が異なる
検査の実施数と精度について
検査の数と精度などについての記事に、検査数を増やすと、陽性と判定された中で本当に感染している割合(適合率)が低くなることが提示されています。
正確にはベイズの定理での計算によりますが、仮に表に示すような設定の場合、検査人数20人なら適合率約9割に対し、100人では5割を切る事になります。
一部では徹底した検査促進の提言もあったようですが、判定基準自体まだ曖昧である事と、医療リソースに負担をかける事を踏まえると、日本における可能性の高い人優先での検査という方針自体は妥当なのではないでしょうか。