新型コロナ後遺症の 特徴・対策
症状の特性と影響・望まれる対応
回復に必要な事は「情報」と「理解」
回復促進のみならず「悪化回避」が重要
自然回復する事も多く心配し過ぎも影響ありうるが、通常ありえない負荷で、暫く後に突然体・頭・精神の様々な機能に強い支障が生じて暫く継続することがあり、それが繰り返されると、耐えられる負荷レベルと、症状の程度・期間が悪化し、回復に時間を要す事例が少なくない。

それまでなかった不調が続いている場合、本人に「回復するまでは無理をしないという認識」と周囲も「気のせいだろうなどと決めつけ無理を要することがないような理解」が重要である。
「理解」を得られ難いことが回復阻害も
症状に個人差が大きく、複数の症状が生じている事も多く、殆どは既存の検査値等で特定が困難で、かつ症状に波があり、支障が強い状態を医療機関や周囲に理解を得る事が困難な事があり、既存の精神的な疾患などに対する対応と同様に扱われ、悪化する事例もある。

必要に応じ安静に休養が取れるよう、近親者の理解はもちろん、会社や学校などの理解を得る為にも、医療機関において診療拒否や安易に心因性等と扱う事がない体制が望まれる。

もちろん、決して悪化する事があるばかりではなく、一時的に悪化しても、適切な対応が得られ、不安等も抑えられれば、徐々に回復していく可能性も十分あり、状態に応じての回復期間が必要という事に対しての理解も重要。
分かりやすい有益な「情報」が必要
症状や対応において未だ確証が得られない事も多く、行政も近隣医療機関での除外診断や、必要に応じ業務調整の相談を行う事等を推奨はしているが、限られた調査対象における数値的分析結果や難解な通達などだけでは、具体的な対応に苦慮し、回復に支障生じる事もある。

状況に応じて選択対応や理解を得られるよう、回復や悪化の分かりやすい情報周知が望まれる
多くの治療実績有する医師発信ベース
ヒラハタクリニック平畑医師が、longcovid.jp で公開の動画等の概要をドキュメント(PDF)化したものと併せてご紹介
患者とその周囲の理解が大切なこと
概要ドキュメント(PDF)版 /元動画:新型コロナに罹患して症状が残ったら見る動画
「いろいろな症状が出たり消えたりする」特徴がある
論文によって後遺症の発症率にかなりの幅あり(2%~88%)。感染者の概ね1割くらいと想定されるが、検査を受けられていない人も多く、未知数。倦怠感、気分の落込み等の様々な症状が出たり消えたりして「もぐらたたき」とも呼ばれる。

倦怠感等で「ほぼ寝たきりに近づく」ことがある
後遺症患者の一部が「筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候(ME/CFS)」と類似した状態に移行。ME/CFSは、突然、長期間にわたり、体調や脳の働きが悪くなり、睡眠障害や自律神経障害なども認める難治性疾患。

負荷重なりPEM(労作後疲労)やクラッシュを繰り返すと危険
近所への買い物や口論などの軽い労作やストレスの後、数時間~数日後に急激にだるくなるPEMがあると急激に寝たきりになりがち。
PEMがなくても「だるくなること」を続けるとPEMが出てきてしまう事があり、早期治療が重要。無計画な運動療法はしてはいけない(最も重要で医師にも間違えられやすい)。
許容量を超えた運動、ストレス、頭脳労働で数日以上寝込んで殆ど動けなくなるクラッシュを繰り返すとME/CFSに移行しやすくなる(重くなる)為、心身負荷調整必要。
基本の推奨治療法
[だるくなることをしない」が治療の基本+上咽頭擦過療法などで
患者自身が自身の状態を観察しながら、ペースを調整する「ページング」が有効。ページングは、だるくならなそうな課題を一定期間継続できたら負荷を少し増やすを繰り返し、危なそうなら休む。調子がいい日に負荷を一時的に増やすと、ほぼ確実に調子を崩すので要注意。
各種症状に対し「上咽頭擦過療法」が打率が高く、代替となる「鼻うがい」なども効果的。他に、漢方、BCAA、亜鉛、鍼灸(最初は軽く、首肩を重点的に)など。
多くの症状へ効果が期待される治療
複合症状の筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群(ME/CFS)の治療の一つに、ページングがある。また、新型コロナ後遺症の患者のほとんどが慢性上咽頭炎を併発しており、胃酸逆流によって慢性上咽頭炎が悪くなる。ページング、上咽頭炎治療、胃酸逆流防止は、倦怠感や思考力低下など、多くの症状への効果期待有。

症状・統計情報について
longcovid.jpでの統計情報の着目点
[コロナ後遺症統計]のページで、ヒラハタクリニックにおける各種統計情報も公開頂いています。
着目すべきは、行政やマスコミ等の発信ではあまり認識し得ない以下のような状況が提供されている点です。
- 重症度別:ME/CFSのPSレベルに対応・時々感じる~寝たきりと差が大きい
- 悪化状況:60日以内にPS6(準寝たきり)になっていた率
- 回復状況:PS6以上からヒラハタクリニックでの治療60日以上でのPS半減率
- PEM(労作後疲労)有数:特徴的で要注意の軽い負荷で遅れて強い影響ある率
- その他、後遺症発症時期、 休職・解雇数、 確定診断数 など
調査対象や方法により大きく異なる様相
また、コロナ後遺症は、人による差も大きく、多くの症状が、出たり消えたりする、医療機関受診も限られるといった特性などから、調査対象や調査の仕方・まとめ方によっても大きく様相が異なるという注意の認識もし得ます。
例えば、ヒラハタクリニックでのオミクロン初期までで少しでも症状が見られた割合データをグラフ化させて頂くと以下のようになり、倦怠感や気分の落込み、思考力の低下などは当初より9~8割に見られ、株の違いは殆どの症状で大きくはなく、差があるものについては脱毛は3か月ほどしてから発症する事が多い等のため後から変わる可能性大との注釈が加えられています。
一方で、行政やマスコミからの発信では、特定の医療機関に入院が出来ていた患者を対象にした調査や、初期の頃は嗅覚や味覚等は大きく取り沙汰されつつも倦怠感などは対象とされ難かった経緯などからも、認識されている症状の割合等に大きな差が生じています。
